半強制プロポーズ

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あれは多分、あたしが高校を卒業してすぐだったと思う。 楽しい事も辛い事もあった高校三年間を友達と懐かしみながら、携帯やデジカメで記念写真を撮って、「お互い頑張ろうね」って励まし合った春。 あたしは家が自営業で、進学も就職もせずに家の手伝いをしようって決めてた。 県内や県外の大学に進学する友達、はたまたどっかの会社に就職する友達に別れを告げて、楽しかった三年間に名残惜しさを感じながらも、自分なりに「これから頑張ろう」って思いながら新しいスタートを切ろうとしていた。 ……そんな時、突然それは告げられた。 あたしには付き合ってる彼氏がいた。 同じ学校の同じ学年で、彼もまた高校を卒業して人生の新しいスタートを切る直前だった。 あたしと同じで家が経営するお店を継ぐらしく、実際、あたしもそんな彼を見て頑張る勇気を貰ってた。 同じ人間として尊敬してる。 ……だけど、それと同時に他人より並外れた存在でもあった。
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