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そんな春の夜の夢のような出来事があった日以来、私は先輩のことがずうっと気になっていた。
恋する乙女とかそんなものでなくて、あの桜がなんなのかが知りたかった。
そんな時、クラブ発表で「オカルト部」なるものを見たのだ。(正確には聞いた)
華やかな運動部やおしとやかな文化部の紹介の中で、そのクラブ名は明らかに浮いていた。
「では次は、オカルト部の紹介です」
空気が、みんながざわめき始める。
(オカルト部?なにそれ、ちょーウケる)
(まじ!おもしろそーじゃん)
(絶対暗いってば!)
みんなが思い思いの言葉を途切れなく話すその時、あの人が現れた。
先輩が、音もなく舞台そでから出てくる。
紛れもなく、あの夜、桜の下にいたあの先輩だった。
舞台の真ん中まで歩んだ先輩が、マイクを握った。
いつの間にか、空気は驚くほど静かになっていて、多分女子はその顔かたちに見惚れているのだろうとわかった。
体育館全体が、先輩の一言を待っていた。
先輩が口を開く。
「―みなさんは、学校の七不思議がなんの為にあるかご存じですか。」
「学校の七不思議は、それがメインと思われがちですが、本当にそうでしょうか?」
「学校に生まれる七つの、不思議な奇怪。その結界をはってでも隠したい秘密というのが学校という場所には、存在する。僕は、そう考えています。」
先輩は顔をあげて、にっこり笑った。
「僕はそれを探したいと思っています」
それから先輩は、暇な時は色々試します以上と言って壇上をおりた。
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