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それから暫く、オカルト部には仮入部が絶えなかった。
毎日遊び半分、先輩見たさに行く人をたくさん見た。
私はその中にはいれる自信がなかったので、いかなかった。
だが、不思議とブームは去るもので。風の噂で、仮入部の数と同じだけの退部届けが出たと後に聞いた。
桜も散りかけた5月、昼休みのお弁当を私はあの桜の下にあるベンチで食べていた。
怖い気持ちはあったけど、それよりも5月の風は気持ち良かった。
「散ったのかぁ…」
ふと、横を見ると先輩がいた。
私に気付くと、ふふと笑った。
「残念か?」
「…あ、えっと、あの」
「俺も、実に残念だ。あぁ、オカルト部は今年もまた一人だけ。つまり俺ですな」
芝居掛かった調子で喋り終えた先輩は、ははは、と少し寂しそうな顔で笑った。
それは、私はなにかに、うっ、とくるものがあった。
うっ。
困っている人を助けてあけたいとかじゃなくて。
「わ、私…!」
なんか、ぐっときちゃったんだな。
「オカルト部、入りたいです!」
すごい勢い立ったせいで卵焼きが、スローに落ちた。
「…俺の後輩一号だな!」
先輩が、嬉しそうに笑った。
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