Signs Of Rain

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浴槽からは案の定お湯が溢れ出ていた。急いでコックを捻りお湯を止める。 浴槽いっぱいのお湯。水浸しの脱衣所。 情事の事で頭いっぱいで、お湯を止める事を忘れていた。軽く一時間は流しっ放しだ。   「オイ。」   後ろから怒りを含んだお兄様の声。ギクリとオレの身体が強張った。   振り向きたくねぇ…。   「何故こっちを見ない?こっちを見ろ。」   振り向いたら間違いなく殺される。   「どうした?俺の言う事が利けないのか?」   段々声のトーンが低くなる。   そんな事ありません!   恐る恐る振り向くと、フライパンを持ったロストの姿。目が据わり額には青筋が浮かんでいた。 ロストにフライパンを扱わせたら右に出る者は多分居ない。…じゃなくて!   オレ、死んだかも。   「覚悟はいいか?」    死ぬ覚悟ですか?   「ちょっ…待って、話せば分かる!だから…ッ!!」   「問答無用ッ!」   ロストは大きく振りかぶり容赦なくオレの頭をぶん殴った。    「ぐはぁッ!!」   床に倒れるオレ。追い討ちを掛ける様に背中を踏んづけられた。   嗚呼…女王様。  
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