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まさかアンタを観察してたと言える筈も無くオレは黙った。
再び訪れる静寂。
さっきよりは大分血色が良くなった兄の頬を撫でた。ロストは気持ち良さそうに目を細めた。
ネコみてぇ…。
「…温まった?」
「ん。さっきよりはマシだ。」
頬を撫でているオレの手にロストの手が重なりドキリと心臓が高鳴った。
ヒヤリとまだロスト手は冷たかった。
止めろよ。
「お前の手は温かいな。気持ちが良い。」
止めてくれ。
「子供体温か?冷え症の俺には嬉しいこどだな。」
それ以上言うと抑えが利かなくなる。
破裂しそうに速く脈打つ鼓動が五月蠅い。
「お前に触られるのは嫌いじゃない。」
やんわりと笑うロスト。オレの頭の中でプツリと何かが切れる音が聞こえた。気付くとロストをソファへ押し倒した。ロストは驚きの余り目を見開いている。
「アンタが悪いんだからな。オレは必死で我慢してたのに。」
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