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「…あのっ!アーサーさん!!」
校門を出たところで、急に名前を呼ばれた。そいつの声で。
「きっ……菊ッ?!」
ちょっと待てよー!俺、完全に気抜いてたぞ?!おいおいおい……マジで待てって!!俺、髪も決めてないし、ブレザーだってヨレヨレだし……何より、ネクタイ絞めてねーし!!生徒会長なのに。
そんな俺とは正反対に、黒髪をきちんととき、ブレザーもネクタイもきっちり着こなした菊は、頬を真っ赤にしてこっちを見た。
「あの………私……ずっと………」
聞きたくなかった。
「お前には、好きな奴がいるんだろ?!どうせ、フランシスあたりにけしかけられて言ってんだろ!!」
全く姿を見かけていないダチ、名前だけ登場。でも、言ってしまってからはっとした。こんな事、言うべきじゃなかった。分かってるのに……菊に想いを伝えたいのは、俺の方だってこと。とっくに。
「…いますよ。好きな人」菊がうつむいた。その言葉が俺の胸にぐさりと突き刺さる。
「……目の前に!!」
菊の目は真剣だった。好きな奴が目の前にって………俺?!
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