《一章》巫女と男子と…時々ごはん?

3/4
前へ
/5ページ
次へ
悶絶して軽く一時間…。 「ほぉら、早く行くわよ~?」 「ま、待ってぇ~!」 転んだ。盛大に転んだ。オマケに襖一枚を思いっきりぶち破って…。 「いたた……」 「あ~もぉ~…何やってんのよアンタは…」 萃香は慌てるとたまにこのような大惨事を引き起こすことがある。最初は本当に怒りかけたが、今ではもう慣れたもの…。 「…障子ならまだしも、なんで襖というものをぶち破るのよアンタは……」 …こんなことで時間をかけたくもないので、壊された襖を放置して出掛けることにする。 ちなみに、ちゃんと神社の掃除はしたわよ?日課なんだから。 「なぁれいむ~」 「何?」 「アレは何なんだ?」 萃香はたまに珍しい(萃香が始めてみるもの)ものを見るとこんなことを言うときがある。 大概は説明できるが、分からなかったり面倒な時は…。 「たまには自分で調べてみるのも面白いかもしれないわよ?」 と、このように誤魔化す。 「…う~、最近れいむはそればっかりだ…ていうか、見てもいないのにそれは駄目だぞ!」 …ちっ。なんでこんなときばっかり……。 「…で、アレって何よ?」 「ん」 萃香が指差したその先には…。 「…なに、あれ……」 明らかに異色を放つ物体が此方を見据えている。 私はそれを見て…無視できるなら無視したかったが、こんなときに限って萃香はそれに近づこうとしてるし…! 「ちょっと萃香!?」 「れいむ~!なんか…コレ《きょうかい》ってやつじゃないのか~?」 「違うわよ!そんな術式()が使うわけ…って、術式……!?」 まずい。なんで早く気付かなかったんだろう。これは…! 「萃香離れて!!」 「れいむ!?」 こんな得体の知れない《モノ》に萃香を近づかせてはいけない。そう思って萃香を力づくで投げ飛ばしたら…。 「…え?」 この後の事は、記憶に残らなかった……。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加