序章 始まり

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妖しげに輝く満月が、その輝きで暗闇を照らす夜。 娯楽の街として知られている“ユルク”では、街中の人々が、宴安を事として、賑わっていた。 ユルクは、金を持つ者達が寄って来る、娯楽だけの街であり、朝昼夜と、その賑やかさが絶える事は無い。 だが、この街の住人や、観光者達の中には、粗暴な人間や、金遣いの荒い人間も多々おり、大金を巡る争い等が勃発する事も、少なくは無かった。 その為、勃発した争いにより、金を失う者も出て来る。 そう言った人間は迫害され、この街の裏街の方への移住を余儀無くされる。 其処では、表の方とは正反対に、貧困が続いていた。 そんな裏街に住む青年、セリンも、迫害された人間の一人であった。 元々セリンは、貴族の家で生まれ育ったが、17歳となった近頃、その性格故に、所持していた金を、全て表街で使い果たし、結果として、この裏街に追い遣られたのであった。 余り手入れのされていない、ボサボサの銀色のショートヘアに、石の様な灰色の瞳。 上半身には、所々薄汚れている黒色の長袖のセーター。 その上から、肩と腕の部分に灰色のプレートと、ガントレットを装備しており、下半身には、白色の長ズボンと茶色の靴。そして両腰には、コピスと呼称される、刀身の湾曲した短剣を携えていた。
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