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そのような不安定な状態のまま早々と9年が過ぎた。
そのころになると龍牙はメキメキと頭角を表し、学力、武術などにおいては大人顔負けの出来だった。
だが、龍牙は常に窮屈さを感じずにはいられなかった。
いくら大の大人と同じだけのことができても、龍牙も年頃の少年である。
そんな息の詰まるような退屈な日々に心底辟易していた。
そんな中、唯一安らげるのは親しい友と遊んでいるときだけだった。
その友とは燗耶(かんや)、燐堵(りんど)、弟の龍尾(りゅうび)、華蓮(かれん)、そして龍牙が思いをよせていた凛榎(りんか)の5人だった。
龍牙は2日に一度、この友達と遊べる2時間を糧に日々を生活していた。
ある日の朝、龍牙の父、蒼龍(そうりゅう)がいらただしげに廊下を歩いている音で目が覚めた。
時計を見るといつもより蒼龍は早くに起きていることに気づいた。
素早く起き上がり服を着替える。
「父さん、おはようございます」
「ああ」
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