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その海の底のように重い空気の中、父、蒼龍の横に座るとそれを横目で確認した蒼龍が切り出した。
「さあ、『息子』を呼びました。そちらのご用件をお教え願いましょうか」
すると攫犀は、ジッと蒼龍ではなく龍牙を見ながら話し始めた。
「ご存知かと思いますが、私はこの龍影の職を辞することにしました。そのため次の龍影を決めねばなりません。今日は私が選んだ者にそのことを伝えに参りました」
淡々とした口調の攫犀の言葉を聞き、蒼龍は高ぶる感情を必死に抑えながら口を開いた。
「そうですか、そうですか。
しかし、ならなぜ私の息子をお呼びになったのですか?私1人で事は足りるでしょうに」
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