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僕は福岡の海沿いにある街に住んでいる。家からは、福岡タワーが見え、周りは開発がどんどん進んでおり、去年の3月には開閉式の野球場が出来た。
その時は、大きなトラックや天高く伸びているクレーン車が沢山あり、僕はそこを通るたびに、それらをいつも眺めるのが好きだった。
だけど、父さんの話しでは、僕の生まれる少し前までは、ここら辺には松林があり、海水浴場で海の家も沢山並んでたって聞いたことがある。でも、万博の為に埋め立てられたらしい。
まぁ、僕の家の近所にも海水浴場はあるが、それは人工的に作った海水浴場だ。
だから、僕は本当の砂浜や海で海水浴をしたことが殆どない。て言うか、記憶にないから、もしかしたら、一度も行ったことがないのかも…
今年から小学校に入学した僕は、余り友達も出来ず、家の中に籠り、1人で遊ぶことが多かった。良江と言う妹がいたが、2才とまだ小さく、僕の遊び相手にはならない。
だけどテレビゲームは殆どせず、本ばかり読んでいた。読む本も海を題材にしたものばかりを選んだ。その為いつの間にか、僕は海の魚等に詳しくなっていた。
水族館に行きたいと思い、何回か父さんに頼んだこともあるが、いつも忙しく仕事をしていた父さんは、
「また、今度な…」
その言葉が口癖かのように言った。僕も気付けば、父さんに水族館のことを言わなくなった。
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