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(どういう事だ。)
恭介は冷静だった。恭介は早灯馬の様に思えたからだ。
(なんだったんだろうな、俺の人生って…。別に不幸だった訳じゃない。だが満足していたわけでもない。結局、なんだったんだろうな…。)
――戦いなさい――
恭介は反応しなかった。
聞こえていたのだが、それは死ぬ前の幻聴程度にしか思わなかったからだ。
――もう一度言います。――
――戦いなさい。貴方にはその権利があります。――
(俺にその権利がある…って言われてもなぁ…。相手は武器持ちだぜ? 敵うわけないだろ。俺に格闘技が出来るわけでもなく、ましてや超能力があるわけでも無いしな。)
――貴方に良い事を教えてあげましょう。 その腕輪は魔法の腕輪で、貴方は1つ超能力を授かりました。
…貴方の最初の能力は
重力開放 のようですね。
これは口で唱える必要はありません。心の中で唱えるだけでいいのです。
では貴方の幸運を祈ります。――
(何が幸運だよ…。まぁ最後に夢を見れただけでも…。重力開放…)
恭介は半ば諦めた様に唱えた。
その瞬間、止まっていた全ての時間が動き出した。
「死ねぇ!!」
(そんな明らかな事を言わなくても良いのにな。)
と諦めていた恭介だが異変に気づいた。 体が妙に軽いのだ。
その瞬間、恭介の体が後ろに跳んだ。相手に当たった訳ではない。自分から跳んだのだ。
(体が……軽い!!
それも今まで感じた事がないくらいに!!)
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