出会い

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2007年4月3日 この日は、会社が勇二と好美の為に歓迎会を開くことになった。幹事で勇二の上司の南部は、やり手で職場の盛り上げ役だ。 「勇二、好美ちゃん、今日は飲ませるからな。覚悟しとけよ!」 南部は、おどけた声で二人に言った。二人は共に、酒が苦手だった・・・。 「僕・・・アルコールだめなんです。」 勇二は恐る恐る南部に言った。すると南部は、 「何がダメだ、馬鹿野郎。酒はなぁ飲まねえと強くなれねえ。俺の持論だかなぁ。好美ちゃんは可愛いから許すけど、お前は駄目だ。」 勇二は返す言葉がない。心の中で仕事が終わらなければいいのにと思った。 しかし歓迎会は待ってはくれなかった。近くの居酒屋に集まる予定だった。勇二は帰り支度を終え、事務所を出ようと玄関に向かおうとした。すると好美が、 「勝山さん、席表見ました?私、勝山さんの隣に座るんですけど飲めないんで代わりに犠牲になってくださいね?」 微笑みながら勇二に冗談ぽっく言った。勇二は、 「あっ、お、俺は酒が・・本当は大好きですから任せといてください!」 好美に男らしさを見せたいが為に言葉が出てしまった。勇二は体質的にアルコールが合わず、一口飲んだだけで顔に出てしまう。 「どうしよう・・・でも好美さんに男らしさを見せないとなぁ・・・ゆっくり飲めばいいや」 心の中で悔やみつつも飲む決意をした。
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