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勇二と好美は一緒に歩きながら見ていた。と、その時である。好美が異変を起こした。急に強烈な痛みを頭に覚えた。好美はしゃがみこみ、
「ゆ、勇二さん・・・頭が頭が痛い・・。」
勇二は倒れそうになる好美を抱き抱え、必死に好美の名前を呼び続けた。すると、好美の頭の中に走馬灯みたく映像が駆け巡った。
急に、好美は痛みを訴えなくなり、指輪を眺めた。
「好美さん?大丈夫ですか?」
心配そうな勇二の顔を見た好美は、
「勇二さん・・・全て思い出したわ。私は結婚していた。この場所にも来ていたわ。今日まで、いつも側にいてくれてたのね?勇二さん・・・」
まさに奇跡が起こった。好美に記憶が戻ったのだ。好美と勇二は61年振りに抱き締めあった。勇二も好美も顔がくしゃくしゃになるくらい泣いた。勇二は神が最後に、ごほうびをくれたと感謝した。
「好美さん・・・やっと逢えた。愛していた人に。」「勇二さん・・・また記憶がなくなるの怖いわ。」
不安がる好美に
「いいよ。また連れ戻すから。好美さん。愛している。」
好美も、
「私も愛してるわ。たとえ、また記憶がなくなっても心の中で愛してることを忘れないでね、勇二さん。」二人は口づけを交わした。そう。61年前と一緒の場所で。しばらく思い出に浸っていると、好美が
「この光景が心地よくて眠くなってきたわ・・勇二さん。」
勇二も、一緒の感覚だった。
「好美さん、僕も一緒だ。誰かが起こしてくれるから少し横になろう。」
二人は夜空に浮かぶ桜を見ながら一緒に眠りについた。
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