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勇二は、自力で立ち上がろうとしたが体が言うことを聞かない。見兼ねた好美が言った。
「そんな状態じゃ無理ですよ?勝山さんの家って、どの辺なんですか?」
勇二は、申し訳なさそうに答えた。
「僕の家は徹明市です。会社の側なんですけど・・・」
好美は驚き半分、安心感半分で答えた。
「私も徹明市ですよ?良かったぁ。なら勝山さんの家まで、付き添いますから帰りましょう。」
勇二は申し訳ないという気持ちよりも、家が近いという情報の嬉しさが勝っていた。こんなチャンスは逃さないと思い、
「すみません。ちょっと一人では無理みたいです。お願いします。」
二人は居酒屋を後にした。好美は、勇二を支えるようにしながら歩いた。勇二は少し照れながらも幸せな気分を感じていた。一時間程歩いていたが好美は疲労を感じて、目の前に公園を見つけた。
「勝山さん、少し公園で休みましょう。」少し息の上がった声で好美は勇二に言った。勇二は、
「はい。本当にごめんなさい・・・」
ただ謝るしかなかった。二人が公園に入ると待っていたのは、暗闇にライトアップでピンク色で綺麗に浮かんでいる桜だった。
「わぁ、綺麗・・・」
その美しさに好美は感動していた。その余韻に浸る間もなく、ベンチに勇二を座らせると自販機で缶コーヒーを二つ買った。勇二にコーヒを渡し隣に座った。
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