0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
――それはあまりにも突然すぎて、小さな自分達には何が起こったのかわからなかった――
固く閉じていた目をゆっくり開けると視界全体に炎が映った
耳にはメラメラ、パチパチと炎の燃える音が両耳を塞いでも聞こえそうな程に燃え上がっていた
その中で微かに人の声が聞こえる
「……はやく……をけせ……」
煙が目に入ってくる
目がしみて、辺りがよく見えない
下を見ると顔があった
――おとうさん…――
目を閉じて、額から血を流して自分の前に倒れていた
――…息…してない――
その隣でお母さんも倒れていた
お母さんも息をしていない
「早く炎を消せ!急ぐんだ!!」
誰かが外から叫んでいる
――たすけて!!おとうさんとおかあさんが…――
煙を吸って出ない声で叫んだ
背中の方から声がする
周りは煙と炎で何も見えない
だけどその声は泣いていて、すぐに弟だとわかった
ゆっくり体を後ろに向けて手探りで弟を探した
最初のコメントを投稿しよう!