27199人が本棚に入れています
本棚に追加
学校に着いた時は完全に日は落ちてはいなかった。
まだ……夜とは言えないよな?さっさと課題持って帰ろう。
学校の中に入ると電気は所々には付いているが薄暗い。それが逆に怖さを引き立てていた。
自分の教室は一番上の4階。階段を上がってすぐ横の教室だ。
自分は怖いと思いながらも階段を駆け上がる。
そのまま教室に入り、机の中を漁った。中には目的の課題が入っており、すぐに鞄の中に詰め込んだ。
よし、早く帰ろう。
廊下に出るとそこは真っ暗。
薄っすらと辺りが見えるだけ。窓から外を見ると日は完全に落ちており、既に夜に入っていた。
その時だった。
ひた……ひた……
自分とは反対側から裸足で歩いてくる音が聞こえた。
ひた……ひた……と同じ速さでゆっくりと。
誰もいないはずの学校。
それなのに足音は確実に自分の方へと向かってきていた。
すぐに"逃げろ"と自分の中で何かが聞こえた気がした。
全力で階段を駆け下りるが、その間、足音は消えることは無かった。
そして、1階にある生徒用玄関が見えた。
よかった!これで帰れる!
扉に手を触れ、思いっきり押した。
ガタッ!
え?
ガタッ!ガタッ!
何度も扉を押す。しかし、扉は開こうとはしなかった。
なんで!どうして!?
押しても、引いても扉はびくともしなかった。
開け……開いてくれよ!
何度も押していた。必死になって開けようとした。そのせいで足音のことなんか忘れていた。
開か……ない?
そんな絶望感に襲われた時だった。
ひた……という音が真後ろで聞こえた。
体が凍ったように動かなくなった。
今更だが夜の学校に入らなければと思った。
後悔したがもう遅い。
友達の注意を無視して、学校に入ってしまったのだから……。
次の日、また教室には一つの空席が出来た
最初のコメントを投稿しよう!