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一方その頃、厳重な警備体制を敷く屋敷があった。
その屋敷の主の名を、ルソン・ウィッチマンという。
彼は、貿易会社『ウィッチマン商会』の社長である。
彼の貿易会社は、バイサス王国における貿易額の20%を独占しており、議会に対しても強い発言力を有している。
そのため、他国の貿易会社に、独断で法外な関税を課すなどして、多額の利益を上げていた。
それをやめさせようにも、貿易額の20%を掌握する彼が貿易をサボタージュすれば、国内の流通経済は大ダメージを受ける。
そのため、議会も王室も、その悪行を黙認しているのである。
だが、権力と富を手に入れ、栄華の限りを尽くしてきたウィッチマンにも、ツケを清算する日がやってきたようである。
その深刻さを、彼の屋敷の厳重すぎる警備が物語っていた。
事の次第はこうだ……
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