標的~targets~

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その封筒は、恭しく侍従が持ってきたわけでも、気づいたら目の前にあったでもなく、ヒラヒラと空から落ちてきたものであった。 今となっては、特に珍しい光景でもない。 何でも、最近は魔術師達の間で、フクロウに手紙を持たせてやり取りをするのが流行っているらしい。 ウィッチマンはそれが嫌いだった。 そもそも、魔術師というインチキ臭い輩を嫌悪していた。 魔法の研究とは名ばかりで、やっている事といえば大金の浪費でしかない。 一年中、光の塔とかいうほったて小屋に篭りきり、国王に対しては敬意を示すくせに、自分には爪の先の敬意も示さない。 そもそも、今の国王自体が無能だ。 大賢者などと呼ばれて調子に乗っている老いぼれにいいように操られているだけでしかない。 このように、この国に対して、ウィッチマンはいくらでも文句が浮かんだ。 この国は間違っている。正しい方向に戻さなければならないと思っている。 そしてそれができるのは自分しかいないとも思っていた。
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