第1章: 騒動

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ローグと対峙しているのは3人。 2人は小柄、1人は巨体で小柄な奴らは片手剣を構え、巨体の奴は大剣を構えている。 3人とも顔のパーツはなく、のっぺらぼうである。 「人形の魔物、シャドウね…… 黒幕がいるわけか…… なら、早めに終わらせる!」 ローグは一気に距離を詰め長刀を横一線に閃かせた。 ローグの技、真空破斬だ。 その一撃を受け、3体は大きく吹き飛ばされる。 3体全員、ガードして体勢を立て直していたが、ローグは次の技に入っていた。 「さっさと消えろ! 風の刃! 絶風脚!」 右足の緑の淡い光を蹴りで放つ。 その光は三日月型に形を変え、風の刃となり1体の小柄のシャドウの首を撥ね飛ばした。 消えるシャドウの傍ら、2体のシャドウはローグに距離を詰め、各々の武器を振り下ろした。 「っと、危なっ!」 しかし、ローグは迫る大剣を後ろに跳んで避け、追い討ちを掛ける片手剣を長刀で弾く。 そして、直ぐ様シャドウの顔にローグの蹴りが入り、地面に叩き付けた。 黒い煤が舞い、石畳の地面と共に頭が砕け散る。 「ラストだ! 爆砕牙!」 そして、その足で大剣を持つシャドウに飛び込み、黒い炎を纏う左足で強烈な蹴りを放った。 その蹴りはシャドウの大剣を砕き、胴体にめり込み、その巨体を発火させ吹き飛ばす。 「手応えがないな」 ローグはそう呟き、刀を納めた。 「お強いのですね! ローグ様!」 ミリアは呑気に手を叩き、場を似合わないほどの爽やかな笑顔になる。 ローグは少し不愉快な顔をして、ミリアの首の横すれすれ、背後の壁に刀を突き刺した。 直後、金属音が響き、ボウガンの矢が弾かれる。 「……2回だ」 「え?」 顔を近付かせ、睨み付けてローグは言った。 ミリアは目を見開き、地面に落ちたボウガンの矢を見詰め背筋を震わせると同時に、目の前にいるローグと記憶の中の青年がダブる。 ローグの知らぬ一面に言葉が出ない警護団の2人。 「お前はもう2回死んでるって言ったんだ お前ら、住民の方に行けよ」 そう言ってミリアの腕を掴み走り出したローグ。 警護団の2人はその一言に我に返り、パニックに陥っている住民の波に分け入っていった。
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