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「……盗み聞きとは結構悪趣味な奴だな……」
ローグは門の扉にいつの間にかもたれかかっている人物に鋒を向ける。
そこにいたのは黒いローブを着た人物であった。
「ニシシ♪
出来るだけ静かにしてたんだけどな~」
その人物は笑いながら手を叩き月明かりの下へと現れた。
月明かりに照らされた男は緑色の無造作に伸びた髪と中性的な顔立ちが印象的な人物である。
「……この方は私の村を焼き払った内の1人です……」
いつの間にか祈祷を終えていたミリアは震える手で剣を握り締める。
ローグはその様子を見て左手でミリアを制止した。
「なぜあんたらはこいつを執拗に追う?
天龍狩りなら神官を狙う筈だろ」
ローグはその人物に訊ねた。
人物は意外という風な声をあげ驚いた表情を見せた。
「……知らないまま助けてたの?
その小娘はれっきとした神官の本家、アルカシア家の13代目の正当後継者なんだよ
だから、天龍狩りはむしろその小娘を探す為にやってたんだ」
そう言って大声で笑いだした。
ローグは横目でミリアを見た。
彼女は唇を噛み締め、その人物を睨み付けている。
「……私が狙いなら、何故赤子をも手に掛けたのですか!
私のみを狙えば済んだものを!」
「別にいいでしょ
何の研究価値がないカスが死のうと
僕の研究やボスの計画には何の支障もないんだし」
怒りに震えるミリアを前に異常なまでに冷静で冷酷な言葉を放つ。
この人物は人の命を研究価値で測っている。
それが異様に許せなかった。
「……許せません! スター……」
「おい、デスペルゴッド」
ミリアの技を遮り、ローグはその人物に話し掛けた。
「おやおや、ローグ・シンドラ
君も研究価値は高いんだから、黙っていて」
「名は?」
そして、立て続けに口上を遮り、ローグは名前を聞いた。
「ニシシ! ザビ
ザビ・クロンド! 研究家兼発明家さ!」
「ザビ、お前の墓前に刻んでやる
『龍の逆鱗に触れた愚かな男』とな!」
声高らかに名乗ったザビに宣言したローグ。
彼の目にも明らかな怒りが現れていた。
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