第1章: 騒動

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「ん~…… 僕は科学者だからな~ 肉体労働はダメなんだよね~」 刀と殺意を向けられたザビは笑いながら、懐から何やら丸いものを取りだし、地面に落とした。 その丸いものは次第に大きくなっていき、次々と大小のシャドウの形を成していく。 「……お前が黒幕か」 「まあね ……たけど、規模は桁違いってことで」 しかし、規模が桁違いだった。 スニキア内では多くても20体ぐらい。 だが、ここに現れたのは100体以上のシャドウ。 「……面倒だな」 ローグは首に手を当て、刀を振る。 しかし、その後ろでミリアは魔法の詠唱をしていた。 「弾けろ聖光 闇を照らし邪を浄化せん! ルミネストライク!」 ミリアの翳した手から巨大な光の弾を撃ち出した。 その光はシャドウの大群の先頭に直撃し、弾けて蹴散らす。 「……へぇ~ 軟弱な箱入り娘だと思ってたんだけど的確に弱点を突くとはね 面白いね、君…… 解剖したくなってきた……」 そう言ってザビは再び指を鳴らす。 すると、影の人形が黒い煤となり1ヵ所に集まり始めた。 その煤は不気味に蠢き次第に牛頭の3m近い化け物に形を作り始める。 その発現中の化け物には4本の腕が生え、それぞれに湾曲した巨大な剣を装備されている。 「まだ実験段階の魔獣兵器の一部さ 銀龍と神子の実力ならデータを取るには申し分ない!」 ザビは高笑いをし始めた。 ローグは溜め息を吐いてミリアを見て言った。 「……下がってろ 俺が殺る」 「……巻き込んだのは私です 貴方様を危険な目にあわせません!」 ローグは忠告の為に言ったのだがミリアは逆にローグの前に立ち剣と盾を構えた。 ローグは溜め息を吐きミリアの頭を押し退ける。 「ローグだ それからあいつらに縁があるのは俺も同じだ」 そう言ってローグも1歩踏み出しミリアの横に立った。 そして、ミリアに視線を送り小声で言った。 「……援護、頼むぞ」 「は、はい! ローグさん!」
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