127人が本棚に入れています
本棚に追加
ちょうどその時であった。
何か黒い丸いものが投げ込まれ窓ガラスが割られた。
女性はその音に吃驚したようで毛布を手繰り寄せる。
何事かと思ったローグは丸いものを拾い上げようとしたが、直ぐに部屋の扉に投げ捨て刀と盾と細剣を抱えた女性を抱え2階の窓からガラスを突き破り飛び降りた。
その直後に響き渡る轟音。
「キャ!」
その音に驚愕した女性は耳を塞ぎ短い悲鳴をあげた。
あれは爆弾だったのだ。
「誰だよ、爆弾投げ込んだ奴は……」
見事に着地したローグは火柱が上がる自分の宿を見上げて呟き、異様な気配に気付いた。
囲まれていることは直ぐに分かったが囲んでいる奴等からは人とは違う何か違ったものを感じる。
「……遅くなったけど
俺の名前はローグ
ローグ・シンドラ」
ローグは今この状況に至りようやく自己紹介をした。
女性は一瞬戸惑ったものの弱々しく口を開いた。
「……ミリア
ミリア・シン・アルカシア……です……」
「……一旦、王都から出る
分かったな?」
鞘に付いたホルダーを腰にくくりつけミリアに言った。
ミリアは険しい表情で首を縦に振る。
「……ですが、私1人で逃げます
貴方にこれ以上迷惑は掛けられません……」
本当にローグを巻き込んだことに申し訳なさそうな表情で呟くように言った。
その時、ローグは風を切る音に気付き舌打ちをしてミリアを抱き寄せた。
刹那、ミリアの立っていた心臓の位置を細い金属の矢が通り抜け石畳に突き刺さった。
「な、何を!?」
「ボウガンで狙われてる!
急ぐぞ!」
ローグはミリアの手を引き南西部の門に駆け出した。
最初のコメントを投稿しよう!