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『なんで全く起きなかったんだろ…』
歩きながら、咲はぼんやりと考え込んでいた。校舎内はガランと静まり返り、夕暮れときの物悲しい空気を纏っていた。
しかし、この日の空気はいつもとどこか違っていた。
自分の事で頭がいっぱいだった咲は、そんな異変に気付かずに黙々と思慮にふけっていた。
やがて咲は教室の前へとたどり着いた。知らず知らず咲の足は教室に向かっていたのだった。
『いつの間に?そういえば結構歩いたのに、誰の気配もしない…ま、気のせいか』
咲は頭によぎった違和感を軽く受け流し、教室のドアを開いた。何かプリントや宿題が出されているかもしれない。
ガラガラと音を立ててドアが開いていく。
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