~失望~

6/8
前へ
/464ページ
次へ
『なんで全く起きなかったんだろ…』   歩きながら、咲はぼんやりと考え込んでいた。校舎内はガランと静まり返り、夕暮れときの物悲しい空気を纏っていた。 しかし、この日の空気はいつもとどこか違っていた。 自分の事で頭がいっぱいだった咲は、そんな異変に気付かずに黙々と思慮にふけっていた。   やがて咲は教室の前へとたどり着いた。知らず知らず咲の足は教室に向かっていたのだった。   『いつの間に?そういえば結構歩いたのに、誰の気配もしない…ま、気のせいか』   咲は頭によぎった違和感を軽く受け流し、教室のドアを開いた。何かプリントや宿題が出されているかもしれない。   ガラガラと音を立ててドアが開いていく。
/464ページ

最初のコメントを投稿しよう!

261人が本棚に入れています
本棚に追加