~女王との謁見~

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真っ暗な闇の中を、サキは泳ぐように漂っていた。そこには音も無く、ただただ闇があるばかりだった。   「これは…夢?」   サキは闇の中をさ迷う。 意外な事に、闇に対する恐怖感は全く無く、闇は心地良い位だった。       やがて、視界の隅でキラリと何かが光った。 サキは目を凝らす。光は一番星の様な煌めきを放っていた。   サキは何かに引かれように、光りの元へと近寄る。 光りの正体は小さな宝石だった。   「…綺麗。」   サキの手が、無意識に宝石に伸びる。   宝石に指先に触れた瞬間、サキは炎に包まれた。   突然の事態に驚いたが、その後に襲ってきた痛みに、サキは堪らずに叫び声をあげた。   「熱い、熱い!!アツイ!!!!」   誰の助けも無い事と分かりながらも、サキは叫ぶ。 いつしかサキを襲っているのが、炎の熱さだけで無い事に気が付いた。   『何故私の子供が!!』 『あいつ等、旅人がいるから!!』 『下等な亜人め!!!!』   ソレブリアの人々の怒りの声が、刃のように心に突き刺さる。   「アタシじゃない!!前の旅人がやったんでしょう!? アタシには関係無いじゃない!!!!」   サキは力いっぱい叫ぶ。 すると、地を這うような低い女性の声がした。   『人殺し…』   「だから、アタシは関係無いって言ってるでしょう。」   サキはむきになって怒鳴った。女性のクックック…と気味の悪い笑い声が響いた。 サキはなぜだか、この声に聞き覚えがあった。   『関係無い…関係無いですって。アハハハッ!!!何を言っているの!? お前が関係無い訳が無いでしょう。』   女性の声は狂気を孕んで、サキに向けられている。 サキは記憶を手繰る。しかし、後少しというところで警鐘がなる。   『お前はアイツの…、私の可愛い息子…〇〇の命を奪った殺人者の娘じゃない!!!!!』   「あっ-。」   思い出した。この女性は…父が車ではねて、死なせてしまった同級生の母親だ!!   『返せ、返せ、大切な〇〇を返せ!!!!』   サキは女性の声を聞きながら、意識が遠退いていくのが分かった。   女性はなおもサキと、サキの父を罵っている。   …そして、怒りの罵り声を聞きながら、サキは意識を手放した-。
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