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しばらくすると、家の外からざわめきが聞こえてきた。
サキ達は追われている立場なので、外を覗く事は出来なかったが、人々の興奮が伝わってくる。
「ルパ様がいらしたぞ。」
「おぉっ。ルパ殿が!?」
どうやら、"ルパ"という偉い人が街に現れたらしい。
やがて、人々の歓声と共に金属が触れ合うような、ガチャガチャという音が規則正しく聞こえてきた。
どんどん近づいて来る…。
サキ達は嫌な予感がした。息を潜め、外から聞こえてくる物音に耳を澄ます。
ガチャガチャガチャガチャガチャ…-。
音が止まった。
同時に家のドアがノックされた。
コンコンコン…
サキ達の嫌な予感は的中した。今回はエリもいなければ、逃げ道もない。
「誰もおらぬのか?…失礼するぞ。」
ガチャリと音が響き、ドアが開くと、学者的で穏和な風貌の40~50歳代の男が立っていた。
しかし、その男は銀色の鎧を身に纏い、腰には大きな剣を携えている。
さらに、男の背後には3人の屈強な兵隊も控えていた。
「!!!」
サキとフリーは身構える。しかし、男は2人を見付けると顔を綻ばせた。
「なんだ、おるでは無いか。…サキ殿とフリー殿で間違いは無いな?」
「えぇ、そうよ。あなたは誰?」
身構えたままでサキも尋ねる。
「なかなか肝の据わった子供だな。
私は、女王陛下直轄の親衛隊で、総督を務めている者だ。
名をアジュ・ルパと申す。以後お見知り置きを-。」
そういってルパは深々と頭を下げた。
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