261人が本棚に入れています
本棚に追加
遠くに見えていたクリスタル・パレスが目前に近付く。
昨日の聖堂とは比べものにならない大きさだった。
「サキ、フリー!!」
城の中庭に入ると、サキ達は女性の声に呼び止められた。
声の主は…エリだった。
「エリさん!!」
サキは思わずエリの方に駆け出す。
「どうしたの?サキ?」
目の前のエリを見て、安心から涙が溢れそうになった。
たった一晩しか経ってはいなかったが、サキにとってエリは大きな存在となっていた。
「大袈裟ね。サキもフリーも、ちゃんとルパ様に会えて良かったわ。」
「へっ?」
あの人を呼んだのはエリだったのか…。
「なんで最初に教えてくれなかったんですか?」
サキはエリに尋ねる。エリは、驚いて目を見開く。
「ゴメンなさい。二人とも余りに良く眠っていたものだから…、書き置きは見たわよね?」
「見る事は見たんですが…字が分からなくて…」
サキがそこまで言うと、エリは頭を抱えた。
「世界が違うんだから、使っている文字の違いも考慮するべきだったわね。
不覚だったわ。」
「…どおりで。」
いつの間にか、ルパが後ろに立っていた。
「この子等が警戒していたのも頷ける。エリよ、失念したな。」
「お恥ずかしい限りです。」
エリはうなだれる。
「よいよい、気にされる事は無い。
それでは全員揃ったな。謁見の間に案内する。付いてこられよ。」
ルパは踵を反すと、クリスタル・パレスの謁見の間へと向かった。
最初のコメントを投稿しよう!