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謁見の間に向かう途中、サキはエリに尋ねた。
「なんでエリさんはここにいるんですか?わざわざルパさんに頼まなくても、…変装とかすれば、一緒に来れたんじゃないんですか?。」
エリは苦笑いを浮かべた。
「それも考えたわ。…だけど、フリーの羽は隠せないでしょう?」
サキはフリーの背中を見る。-確かに羽は大きく、例え大きな布を被っても、隠しきれなかっただろう。
「私はこのクリスタル・パレスで働いているの。だから、少しルパ様とも接点があって、今回もサキ達をお願い出来たのよ。
本当は一緒に連れてきたかったけど…、もしも、サキ達の事が周囲に知られたら…、守るどころか全員の身が危ないと思って。」
「うむ、嘆かわしい事だが、市民の怨みの気持ちは…見ての通り根が深くてな。」
ルパも口を開く。
エリは頷き、話を進める。
「その分、ルパ様はこの国の復興の旗頭で、市民からも"復興の英雄"と慕われている。…ルパ様がいればサキ達も安全だと思ったのよ。」
『成る程。』
サキは納得した。
「それにな、私が直々に出向く事で、民に女王陛下のご意思を示したかった。
女王陛下は旅人を"敵"とは考えておらぬ。
これから女王陛下と謁見する事となるが、安心されよ。」
ルパが安心させるように話しかける。
「はい、分かりました。」
サキも、ルパ達の気遣いに応えるように、ルパに笑顔を向けて返事をした。
「うむ。」
ルパは満足気に頷き、前を向く。
しばらく進むと、巨大な扉が顕れた。扉の左右には二人ずつ兵士が立っている。
「此処が謁見の間だ。」
ルパが話しながら右手を軽く上げると、兵士達が扉を開く。
『女王陛下…どんな人なんだろう。』
サキはドキドキと胸を高鳴らせ、扉をくぐった。
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