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「…恥ずべき事なのだが、そんな女王陛下…当時は王女だったゾフィ様を利用し、皇帝の失脚を狙う者達がおってな。私もそれに加担していた。」
「我ながら愚かな事をしたものだ。」ルパは吐き捨てるように言った。
「我々は、まだ幼いミツル殿を軽視しておった。
私は王女を通じ、ミツル殿が事件を起こすように仕向け皇帝の失脚を狙った。…しかし、ご覧の通りミツル殿の魔法によって街は破壊され、未曾有の大惨事を引き起こす事となった。」
「わたくしもまた、浅はかな考えから国の重大な秘密をミツル様に打ち明けてしまいました。
…わたくしは『ミツル様のお力になっている。』と過信していたのです。わたくしがもう少し思慮深く対応していれば、最悪の事態を防ぐ事が出来たのかもしれませんね。」
ゾフィはため息をつく。その時、エリが口を開き、疑問を投げかける。
「恐れながら申し上げます。陛下のお気持ちはよく分かりました。…しかし、今のお話しが、どのように街の破壊へと繋がったのでしょうか?」
ゾフィは頷くと話し始める。
「わたくしがミツル様にお話しした事…それは、常闇の鏡の封印の秘密についてでした。街中に配置された魔法石が…街全体が封印の魔法陣である事。
そして、鏡の封じている魔界の脅威について説明することで、ミツル様に納得して頂けると思ったのです。
…しかし、わたくしの思惑とは異なり、ミツル様は街を破壊してしまわれた-。」
『-そこまでして叶えたかった願いって…何だったんだろう。』
ミツルは大勢の人の命を奪った。
どんな願いを持っていたのかは分からないが、どれほどの覚悟がミツルという少年を動かしていたのか…。
サキはミツルという旅人の事を想った。
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