~女王との謁見~

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「あの、陛下はミツルの願い事については知っていらしたのですか?」   サキは思い切って質問した。しかし、ゾフィもルパも首を横に振った。   「そのような個人の事には言及しなかったので、ミツル様の願いをわたくし達は存じません。」   「…ただ。」ゾフィは続ける。   「ミツル様はわたくしに『貴女の側に、不当なほど大きく傾いていた幸福の秤を、正しい位置まで戻させていただく。』とおっしゃいました。 その真意は分かり兼ねますが、わたくしはこの事件を通して様々な事を知りました。」   「様々な事…」   「はい。それは、わたくし達皇族がいかに市民を虐げ、軽んじていたかです。」   先程までうなだれていたゾフィだったが、語る内に瞳には輝きが戻り、皇族の威厳が漲ってきた。   「この事件で身罷られた先帝…父上の跡を継ぎ、即位することで、初めて我が国の民の実状について知る事ができました。 今までは幼いから、と伏せられていた事実を知らされる度に、わたくしは胸が押し潰されそうになりました。 貧富の格差。 亜人に対する差別。 僻地での飢饉。 疫病の蔓延。 …そして、今回の事件の被害…。 我が国はわたくしが想像していた以上に疲弊しておりました。   わたくしは生き残った城の者達と、復興を開始しました。 5年経った今、少しずつではありますが、やっと復興が軌道にのり、此処までくることが出来ました。」   「最初は陛下に不信を抱き、絶望していた民も…陛下の働きかけによって、少しずつ復興に力を入れていった。 私達も、陛下への不義を恥じ、今では忠実な臣下として陛下に仕えている。」   ルパはひたとゾフィを見つめ、稟とした声で話す。 それに対して、ゾフィはにこやかな笑みを浮かべる。その仕草だけで、ゾフィがルパを信頼している様子が見て取れる。
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