落ちこぼれと呼ばれ

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「ロファ様っ、早く食べていただけませんか?!」 苛立つようにしてロファに怒鳴る城に仕える家政婦。 ロファは涙目になりながらも、速く食べようと頬に詰め込む。 ロファ「ふぁっ……ごほ」 無理に口の中に頬張ったせいか、むせてしまった。 その様子に家政婦は、はあ、と大きくため息をつき、皿などを素早く片した。 さっさと片付けると部屋からすぐに出ていく。 1人残されたロファは、悲しげな表情で、家政婦が出て行った扉を見つめた。 そして、綺麗に並べてある本に手を伸ばし、一冊の本を手に取った。 赤いカバーに包まれている本を、大事そうにぎゅうっと抱き締める。 その本を持って広い回廊に飛び出すロファ。 走る彼を冷たい目付きでみる兵士たち。 その視線に慣れてしまったのか、ロファは平然としている。 彼がたどり着いた場所は中庭。 中庭には色とりどりの花がたくさん咲いていた。 中央にある噴水の近くにロファは座る。 毎日ここに来るのがロファの日課だ。 ここでいつも同じ本を読んでいる。
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