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それが終わると、ロファは部屋に戻ろうとした。
その時、可愛らしい声がする。
「げっ、何かいるぅ」
自分と似ている幼い顔の少年。
自分と同じ金髪に蒼い瞳。
弟ムーンの方は髪が少し長めだ。
ロファが一番軽蔑される理由は、瞳の色だった。
光りを操る者は両方の瞳の色は蒼い。
だが、ロファだけは片目だけが蒼く、もう一つは灰色のようだった。
見ると、弟が十数人の官人を従えて立っている。
「いかがなされました、ムーン様」
ムーン「見てぇあれ~、気持ちわるぅ」
指差しながら嫌そうにそう吐き捨てた。
「何をしている、ムーン様がお通りになりますぞ。道をあけい」
官人の言葉に、びくっと体を震わせるロファ。
「――おそれながら、道を開けるのは弟君様の方ではないでしょうか?」
ロファをかばうように、1人の男性がムーンらの前に立つ。
いくら落ちこぼれと言われようが、ムーンの兄はロファなのだ。
だが、ムーンは怪訝な顔をしている。
そしておもむろに、傍らの官人を見上げ、無邪気に尋ねた。
ムーン「ねえ、そうなのぉ?」
「えっ?…まぁ……」
はっきりと返事はせず曖昧に答える官人。
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