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「よく分かんないけどさー邪魔なのぉ」
ムーンは事もなにげに言い放つ。
弟は平然と、兄の横を通りすぎる。
取り巻きらがそのあとを続く。
広い回廊には、庇ってくれた男性とロファだけだった。
男性が振り向くと、ロファはびくりと身をすくませた。
「ロファ様、私は貴方様の味方です」
優しく微笑む男性。
黒の短髪で凛々しい目、細いのにたくましい体つき。
身軽そうな鎧と、腰には剣を提げている。
「では、また会いましょう」
一礼すると、男性は何処かへ行ってしまった。
ロファ「僕の、味方?」
彼は他国に友達はいるが、お城の中では、誰1人味方などいなかった。
何も命じたこともなければ、仕える者さえいないのだから。
何だか嬉しくなり、抱えていた本を、ぎゅうっと抱き締める。
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