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楽しそうに話していると、トントン、と扉が叩かれた。
扉が開き、1人の家政婦が入ってきた。
「ナオ様、ニル様、ユリナ様、国王陛下がお呼びです」
優しげに微笑む家政婦に、ニルたちはコクリと頷いた。
だが、優しげに微笑んだ家政婦の顔が、ロファを見るなり変わった。
「ロファ様は国王陛下にお呼ばれされておりませんので、お待ちになってくださいませ」
その口調は、真冬の風並に冷たかった。
そんな家政婦にニルたちは呆気に取られた。
彼はこの国の長男であり王族である。
三人もロファが落ちこぼれと、呼ばれていたのは噂で聞いていたが。
このような無礼な口をきくとは…。
ユリナ「そこの方、口の聞き方に気をつけた方がよろしくてよ!」
ロファを庇うように、そう凛とした声で言い放つ。
家政婦は驚いた顔を見せたが、すぐに深々と頭を下げる。
「――失礼しました」
ユリナ「ロファは…落ちこぼれではないですわ」
悲しげにそう言い、床に視線を落とした。
ロファ「僕なら大丈夫だよ!」
そう言って笑う少年は何処か痛々しい。
家政婦が顔を上げると、冷めた目でロファを見た。
それからニルたちに視線を向け、又もや優しげに微笑む。
「それでは、参りましょう」
そう言われ、ニルたちは家政婦の後を着いていった。
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