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書物には表紙に1つの紋章が描かれていた。それは何処と無く、小さい頃に家に置いてあった本の紋章と同じに見える。
(この事件、あの時のやつらと何か関係があるというのか………少しだけ…調べてみるか。)
偶然にも今日は訓練がない日、調べるにはちょうど良い日だ。だが、調べるにも部屋にはアクセスできる情報端末が無いので、とりあえず置いてある場所に行くしかない。
「少し出てきますね。」
「あいよ」
ベッドから起きると少し出ると伝える。それに対して、テレビを見ながら適当に返事を返したレックスの態度に、少し苦笑しつつ部屋を出ていく。
「…」
向かったのは男子寮より少し離れた場所にある建物。此処にはたくさんの書物や雑誌、魔道書などが置いてある。そして、権限さえあれば時空管理局内の情報にもアクセスできる目的の端末もここにある。
「すいません、情報端末はどこにありますか?」
中に入ってみると外から見るより広い、これでは迷いそうだ。当然、初めて来たので端末の場所はわからない、仕方なく本棚を整理している司書らしき人に話を聞くことにした。
「情報端末ですか?わかりました、案内します。」
マーズの問いかけに整理している手を止めて、こちらです、と言い歩きだす。お願いします、と言い司書らしき人の後ろを付いていく。
「こちらです。では、ごゆっくりどうぞ。」
しばらく後ろを付いて歩いていると、端末のある部屋へと着いた。思ったよりはすぐ近くにあったようだ。部屋の前まで来ると、司書らしき人は足早に戻ってしまった…整理が大変なんだろう。
部屋の中に入ると、端末一台につきそれぞれ個室に別れている。とりあえず近いところにあった空いてる個室へと入る。
(…まずはさきほどの事件から調べていきますか…)
シャルは広場でマーズと別れてから少しのあいだ読書に勤しんだ後、自主練をしようと自主練用のトレーニングルームに来ていた。
「うーん…」
魔法の構築が上手くいかないのか、魔法陣を展開してからの魔力の収束が上手くいっていない。
「やっぱりまだ出来ないかぁ…」
頑張って少し高度な技術が必要な魔法に挑戦してみたが、やはり失敗し落胆する。まだまだ技術面では努力が必要だと痛感しつつ、しょうがないと今の自分でも出来る魔法技術へと練習を変えることにした。
「ふぅ…」
息を吐きながら魔法陣を展開すると、先ほどとは別の魔法の構築を始める。
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