190人が本棚に入れています
本棚に追加
「ん……そこの君たち!」
ボロボロの兵士は、そう叫ぶと少年たちに向かって急いで歩いてきた。こちらに向かってくる兵士を見て少年たちは立ち止まった。
「君たち急いでここから離れるんだ……!」
ボロボロの兵士は、2人の近くまで来た途端慌てたようにそういった。その様子に少年は何か様子が変だと思った。
「何かあったの…?」
兵士にそう聞き返すと、街のここから先はこの異変の中心地でもうほとんどの建物も人も残ってないと兵士はいった。それを聞いた少年は嘘だと思いながらも、兵士の制止を聞かずに1人で走っていった。
「………」
そして、少年が必死に走っていくと自分の家があったらしき場所には、たくさんの瓦礫しかなかった。そこにあったはずの家が無いことに少年は頭が真っ白になった。
「そうだ…父さんと……母さん……は……」
何とか自分の親を探そうと歩いているとどこからか声が聞こえてきた。その声を辿ると書物庫があったらしい場所に1つの人影とその下に2人誰かが倒れていた。
「ここにも無かったか…」
「父さん、母さん!」
少年はその倒れている人物が両親だとわかると、急いで倒れている両親のもとへと走って行った。だが、それに側にいた人影が気づいた。少年はそれに気づかずに両親に駆け寄りその場に座ると話しかけた。
「父さん、母さん!!」
「マーズ…か」
意識が朦朧としながらも少年に気づいた2人は、慌ててここから逃げろといった。だが、その叫びを理解するよりも近くにいた人影が少年に近寄り話かけた方が早かった。
「おい、そこの子供お前は誰だ……」
その声で恐る恐る上を見た少年は、見下ろしている人影…大柄な男が放っている威圧を見て固まってしまった。
「マーズ…逃げて!」
そんな少年を守るようにして今にも倒れそうな2人は男の前に立ち塞がった。それを見た男は1人納得し、目の前の2人を見てつまなそうにしながら手を前に出した。
「失せろ……」
そういった瞬間、男の手から光の槍のようなものが2人に向かって放たれた。それを防御の魔法で2人は防ぐが、その間に男が2人に接近して、再び光の槍のようなものを至近距離で放った。
「「ガッ……」」
最初のコメントを投稿しよう!