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まともにそれを受けた2人は、後方に思い切り吹き飛ばされた。そのすぐ後に2発目が放たれ、それが直撃した2人はぴくりとも動かなくなった…。
「……」
それを見た少年は、一瞬何が起こったのか分からなかった。両親は優秀な魔導師ですごく強いはずなのに……なんで…と自分の中で繰り返しながら、自分の奥底から溢れてくる怒りで頭が一杯になってしまった。
「うわぁぁぁ!!!!!」
そして少年は男を見て叫び、石を投げながら走って向かっていった。その石は男に当たるが、男は何の反応もしなかった。そして、男に向かって拳を放とうとするが男は簡単に少年の頭を掴み投げ飛ばした。
「グッ…」
「……」
投げ飛ばされるが、怒りと憎しみで再びふらふらと立ち上がった。少年が再び走っていこうとした時、男は手を少年に向け、手から光の槍のようなものを出すと、それを少年に向かって放った。
「ガッ…」
その光の槍は少年から少し離れた地面に落ちたが、そこから起きた爆風によって、おもいっきり後ろに吹き飛び地面に転がった。そしてその直後、男の横に数人の仲間らしき人影が現れた。
「見つかったか?」
「いいえ、ですがこのようなものが…」
リーダーらしき男に、さっきの男は何か本のようなものを渡した。それを苦しみながらも、少年は見ていた。
「ほう……これは良いものを見つけたようだ」
本の中身を見たリーダーらしき男は一瞬ニヤリと笑うと後ろを向いて、そのまま歩き出した。それに続いて他の仲間も歩き始めた。
「待て…」
少年はそう呟いて、這って追いかけようとした。だが、さっきの男がそれに気づいて、再び光の槍を投げた。
「!!」
今度は少年に直撃し、そのまま地面を転がっていった。その音に気づいたリーダーらしき男は、大柄の男の方を向いた。
「どうかしたか?」
「いえ、何でもありません」
返ってきた答えを聞いた後、リーダーらしき男は探すように周りを見回し、興味が無くなったように前を向いて嘲笑いながら、姿を消していった。
「待……て…」
槍が飛んでくる直前、両親から教わった魔法の知識を使い、何とか防御したことでまだかろうじて生きていた。身体はボロボロで動けないが、さっきまで男達がいた空間を強く睨む。
「…絶対に…探し出して…こ……して…や…る…」
男達が消えた後、少年……マーズ・スターツはそう呟きながら、意識が朦朧とし始め……気絶した。
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