始まりの日~1st stage~

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始まりの日~1st stage~

「!!!」 おもいっきり叫びながら勢いよく起きると、そこは自分の部屋のベッドの上だった。しばらくぼーっとしていると徐々に目が覚めていった。 (なんか朝から嫌な夢を見たような…) そう思いながら視線を窓に移し、再びぼーっとしながら窓の外を見ていた。 「………あ」 そうして耽っていると、ふと目に入った制服を見て、そういえば今日が入隊式だという事を思い出し、急いで家を飛び出していった…… 「今日から入隊するあなた達は訓練生ですが、正規の隊員だと思い、行動してください」 前では眼鏡をした真面目そうな女性が話している。 (形式的で面白味がないな…) その話を聞きながら、目だけで周りを見回していると、1人の少女と眼があった。 「……」 少女は、見た瞬間にすぐ視線を前に戻した為、視線を話している人に戻すことにした。 「……これで式を閉式とします、これから直ぐに訓練があるため訓練生は準備ができ次第、第3訓練場に集合するように。以上、解散!」 (今から訓練があるのか…) 「よっ」 式が終わり、これから訓練の為に準備をしようと戻ろうとしていると突然後ろから声をかけられ、肩を叩かれたので振り返った。 「…君は?」 振り向くと後ろには、同じくらいの年の少年が立っていた。 「俺はレックス・トレントだ、レックスと呼んでくれ」 「レックス……僕に何か用ですか?」 「……用って」 レックスと名乗った少年は突然笑いだすとまた僕の肩を叩いた。 「お前面白いな…名前は?」 「マーズ・スターツです。好きなように呼んでください」 「わかった、じゃあマーズ…」 そう言って、レックスは右手を僕の方に差し出してきた。 「これからよろしく」 「…こちらこそよろしくお願いします」 差し出されている手を掴み、レックスと握手を交わした。 (こうやって誰かと握手をしたのはいつ以来だろうな…) 「次、訓練だからそろそろ行こうぜ」 レックスがそう急かすので、2人で訓練の準備の為に更衣室へと向かうことにした。 「………」 その後ろから、2人が更衣室に向かって歩き出したのをじっと見つめている1つの人影があった。さっき入隊式でマーズを見つめていた少女だ。 「あの人……だよね」 少女はポケットから一枚の写真を取り出すと、マーズと交互に見比べていた。2人が見えなくなると、少女もその場からすみやかに移動した。
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