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更衣室ですばやく着替えて準備を終えた2人が、集合場所の第3訓練場に来てみるとすでに何人かの訓練生が先に来ていた。
「意外と先に来ている人が多いですね」
「そうだな…俺たちが一番乗りかと思ったんだが…残念だ」
そんなことはどうでもよかったマーズは周りを見まわしていた。すると入隊式の時の少女を見つけたので近づこうと歩きだすが、目の前に数人の訓練生が現れ、進路を塞がれてしまった。
「ちょっと君」
「………」
数人の訓練生の中からリーダーらしい少年が出てきて、マーズに話しかけるがそれに対しマーズは面倒なのかと思いながらそれらを無言で見ていた。
「無視は良くないな…」
「…」
話しかけても何の反応もしないマーズに、リーダーの少年は青筋をたて…明らかにキレかけていた。
「おい!」
「…」
さすがにキレたのか、マーズの襟元を掴もうと勢いよく手を伸ばすが…軽く避けられそのまま前に倒れた。それを見ていた周りの何人かがクスクスと笑うのを見たリーダーの少年は、立ち上がりマーズを睨んだ。
「………」
「貴様よくも…」
周りの誰もがマーズ達を見ていた……。その時、いかにも鬼教官のような大柄の男が現れてこの場の雰囲気に気がつき、その原因であるマーズ達に近づいてきた。
「お前たち何をやってる」
「……」
近づいてきた男にそう言われて、即座にリーダーの少年は一緒にいた数人の訓練生とこの場から離れていった。それを見ていた男はすぐにマーズに視線を戻した。
「………」
「………」
男は数秒間マーズを見るとすぐに視線を外し、訓練生の前まで歩いていった。
「おいマーズ」
男がマーズから離れると、レックスはすぐにマーズに近寄ってきた。それと同時に周りで見ていた他の訓練生も見るのをやめて、見る直前までそれぞれ自分たちが行っていた事に戻った。
「レックス…どうかしましたか?」
「どうかしましたか?…じゃねえよ。さっきまで何人かとケンカしてたじゃねえか」
さっきの少女がいなくなっているのに気づいたマーズは周りを見て探していたが、レックスのその言葉で探すのをやめ、レックスを見た。
「喧嘩はしていませんよ、ただあっちが絡んできただけです。」
「……まぁいいや、そろそろ行こうぜ。集まってるらしいし」
そう言ってレックスが移動を始めたのでマーズも一緒に集まっている場所へと急いで行った。
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