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2人が集まっている場所まで来て列の後ろに並ぶと、訓練生たちの前にはさっき自分たちの所へきた大柄の男がいた。なぜ前にいるのかと思いながらもその隣を見ると入隊式で話していた眼鏡の女性が喋っていた。
「…という事でこれからあなたたち訓練生を監督するのはここにいる鬼原教官です。では、教官あとはお願いします…私はこれで」
隣にいる鬼原という教官に挨拶をすると、女性はそのまま訓練場から去っていった。
「……さっき紹介があったが改めて、俺は鬼に野原の原と書いて鬼原だ。」
「鬼に原で鬼原ってそのまま本人を名前にしたような感じだな…」
レックスが呟いた言葉に対して、まぁ確かにそのとりだが……そんな事よりもただの教官な気がしないなと心の中で思いながら教官を見る。
「対して話すことも無いから、さっそくお前たちには訓練をしてもらう……とその前にまずは」
「…そこのお前と」
指されたのはさっきマーズに絡んできたグループのリーダーの少年だ…嫌そうに顔を顰めている……まぁ、という事は次は…マーズは一瞬で次の展開を予測した。
「お前だ…」
「やっぱり……」
予想通りの事だったので驚きはしなかったが、一体今から自分たちに何をさせるつもりなのか分からずマーズは軽く注意しながら次の言葉を待った。
「お前たちには今からやる訓練の手本として全員の前でやってもらう」
「はっ…そんな簡単なこと」
教官が言ったことにそう反応したさっきの少年は余裕の表情でマーズを見た。それを見た教官はニヤリと笑った。
「そうか……そんなに自信があるなら早速やってもらおう」
「…」
教官の笑った顔を見たマーズは嫌な予感がしていた。絶対に何か面倒なことになりそうな気が…。
「頑張れよ」
「……」
のんきにそう言ってきたレックスを無視して、しょうがないか…と思いながら前へ行くことにした。その後、2人してとても後悔することをやらされたのは言うまでもない……。
「……あれはないですよ」
「ははは、あれはヤバかった」
軽く落ち込んでいるマーズの隣で、レックスはさっきの訓練の前に起こった事で笑っていた。
「人の不幸をなんで笑うんですか…」
「あぁ、ごめんごめん……プッ」
マーズはため息をつき、これじゃダメだと気を取り直すことにした。
(とりあえず訓練に関しては普通にこなすことが出来たから明日からは、また頑張ろう…)
隣を見るとレックスはまだ笑っていた。
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