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「…」
少しイラッとしたので、マーズはいまだ笑っているレックスをその場に置いて、1人で先に行くことにした。更衣室へと入ると、さっき自分と同じ目に遭った少年がいる事に気づく。だが、そのまま無視をして自分のロッカーへと向かった。
「…」
「…」
何分お互い無言で着替えを続けていただろうか…マーズが着替え終わり更衣室から出ようとした時、少年が呟くように言った。
「君の所為で酷い目にあった、このことは絶対に忘れないからな…」
「……」
マーズはその言葉を聞き、どこの悪役のセリフだよと思いながら無言で更衣室から立ち去った。
「着替えるのはえーよ」
更衣室から出ると、外にはちょうどレックスが到着していた。
「来るのが遅いんですよ…僕は先に行ってますよ?」
「なんだ待ってくれないのかよ」
軽く笑いながらそう言うレックスに対して、マーズは無言でそのままその場から立ち去ろうとした。
「先に行って待ってろよ」
レックスの言葉に手を振って返して、マーズは先に自分達の部屋に向かって歩いていった。
「うわっ」
「きゃっ」
部屋に向かう途中の通路を進んでいた時、ちょうど目の前の部屋から1つの影が出てきてぶつかった。なんとか体勢をすぐ戻し、ぶつかった人物を両腕で抱きとめた。
「大丈夫ですか?」
ぶつかった相手に向かってそう言ったマーズはふと両腕で支えている相手の顔を見て驚いた。
「君はあの時の……」
「!!」
少女は恐る恐るマーズの方を向いて、驚いていた。その様子を見ながらとりあえず少女を立たせた。
「……」
「…貴女は何で入隊式の時にこっちを見ていたんですか?」
気分的に面倒だったので率直にそう聞くことにした。
「…何のことでしょうか…」
「…」
少女はそう言い自分は知らないとしているが、マーズにはこっちを見ていたのは彼女だという確信があった。
「……とぼけても意味ないですよ。見ていたのは貴女ですよね?」
「……貴方の名前は?」
マーズの質問に対して、少女はいきなり名前を聞くという返し方をした。
「…」(いきなりですね…)
「はぁ…僕はマーズ・スターツです。呼び方は好きなように」
名前を聞いた少女は、やっぱりといった顔をした。
「私は…シャルーナ・モラレスです。シャルと呼んでください……さっきのことですがあの時は、ちょっと知り合いに似ているなと思って見てただけです」
「……そうだったんですか」
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