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彼女、シャルのその言葉を聞いて何かある気がしたが、今は別にいいかと思い、とりあえずその場はそれで納得することにした。
「それで君はどこに行こうとしてたんですか?」
とりあえずぶつかってしまったので向かっているところまでは送ってあげようと思い、シャルにそう聞いた。
「えっと…女子寮…です」
それを聞いたマーズはレックスのことはどうしようかと悩んだが、まぁいいかと思いシャルを女子寮まで送っていこうと決めた。
「じゃあ、女子寮の近くまで送っていきますよ」
「そう…ですか、ありがとうございます」
シャルに承諾をもらったところで、早速女子寮まで歩き始めようと歩きだしたのだが、少し歩いたところでシャルが着いてこないことに気づき、もう一度元の場所に戻ってあれやこれやとしてから、ようやく女子寮に向かって歩き始めたのだった。
「…………」(気まずいな……)
さっきから2人で歩いているが、マーズは隣で並んで歩いている少女、シャルに何を話せばいいのか分からずにいた。そんなことを知ってか知らずかシャルは、1人で何か考え事をしてるような顔をしていた。
「…」
早く着いてくれと思いながら歩いていると、突然少し前の曲り角から入隊式の時にいた女性が出てきた。必死に何か話そうと考えていたマーズとずっと何かを考えているシャルは、当然それに気づかずにそのまま通り過ぎそうになる。
「そこの2人」
通り過ぎる直前に2人は呼び止められ、ハッと意識が引き戻された。そして、通り過ぎようとしていたおそらくかなり上の階級であろう女性は、2人を見て上官に対する挨拶は?と、説教をし始めたのである。
「「すみませんでした…」」
2人は同時にそう言い、その場から物凄い勢いの早歩きで一緒に逃げだした。上官である女性は2人の見事な逃げっぷりを見て唖然としながらも、急いで2人を追いかけだした。
「あっちにいきましょう」
2人はあっちこっちを早歩きで逃げ、なんとか追ってをまくのに成功したのであった。
そうこうしている内に、2人は目的地である女子寮近くにある休憩所までいつの間にか来ていた。マーズは立ち止まり、別れを告げてから自分の部屋へと向かって歩きだした。その姿を見送りながら、シャルは何かを決意したような顔をして
女子寮へと入っていった。
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