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「遅いぞ、マーズ」
色々と遠回りをしながらもやっと部屋へと着いたマーズに対して、部屋の前で立って待っていたレックスは怒っているのか、そう言い放った。
「すみませんでした、少し私用で寄り道してました…」
そんなに心配させてしまったのかと思ったマーズは、素直にレックスに謝罪した。そんなマーズを見てレックスは、はぁとため息をつきながらゆっくりと歩いて部屋の中に入っていった。
「そういえばさっき入隊式の時の女の教官が何かきょろきょろしてたな」
部屋に入って早々にレックスがそう言ってきたので、マーズは内心さっきのが見られてたのかと焦りながら「何か探してたんでしょうきっと」と返した。
「大変なんだなー、教官って」
そういった言葉を交わしたあとに2人は部屋の中を見た。部屋の中にはベッドが4つあり、中心のテーブルを囲むようにそれぞれ隅に置かれていた。
「共同部屋とは聞いてましたが、4人部屋とは」
「他に2人いるのかー」
2人はとりあえず奥にあるベランダ付近のベッド辺りに荷物を置くと、ベランダに出た。この建物は訓練生用の寮で、今2人がいるのはその3階の隅の部屋だ。
「ここってこんなに景色が良いんですね…」
ベランダからは緑豊かな森林とその奥に湖が見ることが出来た。2人はその眺めをじっくりと堪能したあと、部屋の中に戻りとりあえず荷物の整理を始めた。
「ここがボクたちの部屋だな…」
そんな折突然ドアが開いたかと思うと、自分たち同じ2人の訓練生が入ってきた。レックスは入ってきた2人を見た。
「ってお前マーズに絡んできたやつじゃねえか」
その言葉を聞いて、マーズもそちらを向いた。入ってきた2人もマーズ達を見てから、露骨に嫌な顔をした。
「なんで君たちも同じ部屋にいるんだい?」
「それはこっちがいいてえよ」
入ってきて早々に険悪な雰囲気になった部屋の中で、唯一もう1人入ってきた訓練生が止めに入った。
「け、喧嘩はよくないよ」
止めに入った子を見て、とりあえずその場は収まった。止めに入った子が自己紹介を始めたので、お互いの名前を4人のうち3人は面倒そうに言った。自分に訓練で絡んできたのはヴェルドラ、もう1人はアネムとだけ覚えておこうとマーズは心の中で思った。
4人はその日はあまり会話もせずに、それぞれの寝床についた。
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