190人が本棚に入れています
本棚に追加
その日の夢 ~zero~
その日の夜…その街、いやその世界は突如として終わりを告げた………
ゴォォォォ!!!
「ぎゃぁぁ!!」
「たすけえてぇぇ!!」
街のあちこちで人の叫び声が聞こえ、街のほとんどが炎の海と化していた。また、建物はほとんどその原型を留めてはおらず街の風景は悲惨なものとなっていた。そんな中で、1人の幼い少年がたった1人で歩いていた。少年は、今のこの街で起こっている惨状を見て混乱していた。
「一体どうなってるんだ……」
少年は周りを見ながら、自分が街から出ている間に何が起こったのかを考えていた。
(自分が昼に出た時には街はいつものように賑わっていたはずなのに、何でこんなことに……)
混乱した頭でどうにか考えていると、元は家だっただろう瓦礫の側で自分と同じくらいの少女が蹲って泣いているのを見つけた。
「大丈夫かい?」
少年は泣いている少女に近づいて話しかけた。すると少女は顔を上げて少年の方を見た。
「貴方は?」
「僕はマーズ…君は?」
「私は………ミラ」
少年の返答に一瞬逡巡を見せるも、少女は小さく名前を呟いた。名前を聞いた少年は少女に手を差し伸べた。
「ミラ…ここにいると危ないから歩こう」
「うん……」
少女はその手を取り立ち上がった。少女が立ち上がると少年は歩き出し、それに合わせて少女も歩き出した。
「そういえば、どうして泣いていたの?」
歩きながら少年は少女にさっき泣いていた理由を聞いた。少女はその質問にまた泣きそうになりながらも少年の顔を見て、自分を守って父親や母親が瓦礫の下敷きになってしまい、どうしていいかわからないままずっとあそこで泣いていたと話した。
「そうなんだ……」
「うん…」
少年はそのことを聞いて少し冷静になるも、どう話しかければいいかわからなくなってしまっていた…。だが突然、そうだ…と何かを閃いた。
「だったら僕の家にいこう」
「マーズの家は大丈夫なの?」
それを聞いた少女は少年の家は大丈夫なのかと問いかけるが、少年は自分の親は魔導師だから大丈夫だといった。
「だから行こう」
「うん…」
少年は少女の手を引いて自分の家に向かって歩き出した。だが、周りの悲惨さは歩いても変わることはなかった。
「本当に大丈夫なの?」
心配になった少女は少年にそう聞くが、少年は家は大丈夫だと返す。そして、しばらく歩いていると目の前からボロボロの兵士が歩いてきた。
最初のコメントを投稿しよう!