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「おい貴様! そこの雑魚二匹を倒したからって調子に乗ってんじゃねぇぞ!?」
ドスの聞いた低い声を出し、兄貴と呼ばれていた大柄の男が荒々しく歩いてきた。
さっきの2人を仲間だとは言わない所を見ると、どうやら不良の名に相応しい下衆な性格をしているようだ。
取り巻きを少し離れた距離に連れたまま彼の目前に立ち塞がる。身長は不良の方が少し高くて、――彼の身長が190cm位で不良が200cm位――ちょうど彼を見下ろす位の高さでにらみ合いを始めた。
「俺はあんな雑魚二匹を倒した程度で調子に乗ったつもりは微塵も無いんだが?」
「ハッ、そんな大口を叩いて無事にここを五体満足で生活できると思ってるのか?」
「疑問文を疑問文で返すな。まさか会話の仕方も分からないバカを兄貴と慕ってるなんて、貴様らのレベルの低さが窺えるな」
「ーーーーっ! ふざけてんじゃねぇぞ、このアマがぁぁぁぁぁぁ!!」
不良が怒声をあげながら大きな腕を振りかぶり、その巨体に似合わないスピードで襲いかかる。とりあえずカルシウムを採る事を勧めたいね。いつか高血圧で死ぬよ?
そして依然として手はポケットに入れたまま、その攻撃を先程と同じように軽々と避ける彼。何度かそれを続けた後に突然軽業師のようなバック宙をして距離をとると、心の底から不愉快そうな顔を向けて口を開いた。
「お前ら……殴ったり蹴ったりするだけで喧嘩に勝てると思ってんのか? 正真正銘のバカだな」
「なんだと!? もう一度言ってみろ!」
「あぁ、何度でも言ってやるよ。バカ、馬と鹿、間抜け、ウドの大木、愚の骨の頂点…………意味分かるか?」
「ぐぬぬぬぬぬ…………っ!!」
からかわれた不良の頭の先が、憤怒と羞恥によって真っ赤に染まっていく。それはこのまま煙が出ると言われれば信じられそうなくらいで、少し笑ってしまった僕は慌てて平静を取り繕った。
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