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† †
「ここが夢にまで見たカーレント魔法騎士学園かぁ……! やっぱり大きいなぁ…………」
たくさんの人が門の中へ足を踏み入れる中、僕は感激に打ち震えながらその場で立ち尽くしていた。
少し前まで片田舎のそこそこ良い家庭で、これまたそこそこ良い学校を卒業した僕は騎士になるという夢を持って、ここ――――カーレント魔法騎士学園の試験を受けて無事に合格した学生の一人。
今の世の中で、ほとんどの子供が将来の夢を騎士と言うのだけど実際になれるのは全体の半分以下。
なれなかった人達は支援やバックアップにまわる事が多い。
それに騎士になるためには厳しい審査がある。まず入学すると最初に魔力量の調査があって、その基準量が合格に達すると次は体力、気力、握力等々。
たくさんの審査を合格して初めて騎士…………ではなく騎士見習いになれる。
騎士見習いから騎士になるにはテストや実績を積まなければならないため、途中で諦める人が少なくない。
「でも僕は諦めないぞ! なんとしても騎士になってやるんだ!!」
グッと手を握りしめながら足を踏み出して門の内側へ進んで行く。
進んで行くと、中には部活の誘いをしている人や新入生を見に来た人がたくさんいた。うぅっ、こういうのって苦手だなぁ……
自分だけが見られているわけじゃないのに恥ずかしさで顔がどんどん熱くなっていくのが分かる。
そしてそれを見られているのかと思うと更に顔が熱くなってきて、おもわず目をギュッと瞑ってしまった。
それが悪かったのか、僕は前の人にぶつかってしまった。
「アイタッ!?」
「うぉうっ!!」
ぶつかった顔を擦りながら謝ろうと思って目を開けた僕の目には…………
「オイ、テメェどこ見て歩いてんだよ!」
「兄貴にぶつかるとはいい度胸してるじゃねぇか、あぁっ?」
ガッチリとした体格をした男の人達がキレながら僕を囲んで睨んでいるのでした。
えっ、何これ怖い。
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