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「…その後、僕は彼女を殺した、罪悪感に押しつぶされそうになって、何日も学校を休んだ。登校拒否にもなった。それで、僕はこの苦しみから逃れるために永遠に記憶を封印したんだ…。とても大切だったのに…ごめん、奈菜のこと忘れてて」
顔を見られたくない、こんな顔、大好きな人に見せたくない!! 奈菜は俯いている僕にそっと近寄って抱きしめてくれた。
「いいのよ。だって忘れてても、巧君は巧君だから。私は成仏できずにもう一度巧君にあって巧君の本当の彼女になりたかった。そして巧君は私を好きになってくれた。あんな下手な手紙を出したのに、私のこと真剣に考えてくれてた。そのおかげで思い違いもしないで私は巧君に思いを告げられたの」
「奈菜、僕達まだ始ったばかりじゃないか…」
その問いに、奈菜が首を縦に振ることは無かった。
「ううん、私には一つ一つが大きかった。幸せだった、もう十分すぎるくらいに…」
「……お姉ちゃん」
今まで黙っていた由里ちゃんも辛抱切れなかったみたいだった、頬には涙を溜め顔はぐちゃぐちゃになっていた。妹である由里ちゃんが一番奈菜がいなくなって悲しいに決まってる。そんな由里ちゃんに奈菜は、笑みを絶やすことは無かった。
「お姉ちゃん、わたし…、わたし…」
「由里ちゃん、今まで私を大事に思ってくれてありがとう。少しわがままだったけどとっても素直な子、私は由里ちゃんの姉で本当に幸せに思える。今の由里ちゃんは自慢の妹だって言い張れる、そう思わしてくれてありがとう」
「ヒック…ヒック、お姉ちゃん。もっと色々、お姉ちゃんとしたかったよ、私。綺麗な服着て、町を散歩したり、買い物に一緒に出かけたり、これからだって時にいなくなっちゃうんだもん。ひどいよ…」
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