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「ごめんなさい」
由里ちゃんはとても辛そうだった。それ以上に奈菜はもう妹と買い物も、勉強も、お昼寝も、ご飯も一緒にいて上げられない悔しさに葛藤している顔をしていた。奈菜はこうなると、分かっていてまた僕の所に会いに来てくれたんだな。辛い思いをするかもしれないのに…、そんなこと…ひとりで辛いこと背負うなんて相変わらずだな、まったく…。
「奈菜、僕が…僕が奈菜も由里ちゃんも守るよ。奈菜にも、由里ちゃんにもこれ以上悲しい顔してもらいたくない」
「…巧君、…ありがとう」
「巧さん…ありがとう」
奈菜の顔には笑みが戻り、由里ちゃんの顔もそれを聞いていつまでもいつまでも笑っていた。そして奈菜の身体は小さい光になって消えていった〝巧君、ありがとう、またいつかどこかで会いましょう〟という言葉を残して…。
そして僕達は歩み出した、長い、長い道のりを三人で…。
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