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「なんで!? 明らかにお前おかしいよ!!」
「警察沙汰になってないからいいんだよ!!」
「なんで、俺達逆ギレされてんの!?」
「それに宇宙空間に法律は無いんだからな」
「確かに無いけどさぁ、……」
まったく失礼な奴らだ。勝手に言っておいて勝手に沈むなんて。
「そういえば、先生はGW中何して過ごしてたんですか?」
「そりゃあ、先生のことだから…」
「なっはっは~!! めいいっぱい遊び倒したで~」
「「結局駄目人間か!!」」
「何や、何怒ってんねん、自分ら?」
「先生、教師がネトゲーは、いくらなんでも…」
「そんなちっさいこと気にすんなや、先生は麗らかで寛大な心の持ち主やからな。皆も先生のこと見習って良い人になっていくんやさかいな」
「あ、あの…先生!!」
一人のクラスメイトがおずおずと先生に話しかけた。
「んっ? なんや?」
「すいません、宿題忘れました」
「うらっ!! 教師に喧嘩売っとんのか、あぁ!?」
「「寛大な心、ちっさ!!」」
「さっき自分であんなこと言ったのに、随分気が小さいな!!」
「あぁ、宿題忘れがそんなに小さいことか~!?」
「いや、別に小さくないけどさぁ、そんなに切れることじゃないと思うぞ」
「そんなんやから、今時の若者は馬鹿にされるんじゃ~! そもそも……」
先生が説教モードに入ると、周りは次の準備に掛かり始めた。あぁ、誰にも聞いてもらえないだけの説教は空しいな…。
*
僕は手紙の通り、午後五時に桜の木の下を訪れた。
「ちょっと早かったかな、しかしどんな子だろ?」
「ごめんなさい、待ちましたか?」
振り返ると視界に入り込んできたのは、風になびかれる銀色の髪は、夕日によって橙色に輝く髪を手で押さえて、ふわりとリボンが揺れる。スレンダーで小さな体つきに、といってもいい感じの素朴さと表情の裏に黒く湧き上がる不安のような顔つきをした女性は狐を抱えていた。
「いいえ、さっき来た所です。…葉瀬川さんに狐の子供?」
「ええ、名前は雪ちゃんって言うの」
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