テーマ『布、殺人、スキー場』《中》

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         * 「ふー、危なかったね小鳥」 「そ、そうね」 「…」 あれから、渚と胡桃が遅れて来たのだが時間も危なかったので急いでバスに乗ることにしたのだ。バスの中は、二階構造になっていて極一般的に思えた。しかし戸はバスの両側中央に一つずつで、中は見たことの無い構造になっていた。小鳥によると、中は四部屋六人制で一つ一つがバスの真ん中のドリンクバースペースで区切られているそうだ。また部屋はカラオケによくあるパーティールームのようになっていて以外と広く感じられた。机を挟むようにして三人三人で座ったのだが、急いで入った為片方に奥から順に胡桃、柊、杉宮。反対側に渚、僕、小鳥という何とも気まずい空間になって閉まったのだ。小鳥は、何故か赤くなって伏せてるし、渚は隣が男性(僕)とあってしどろもどろになって俯いてしまった。そんな中柊が沈黙の空間を破った。 「小鳥さん、拾い食いでもしたのか?」 「あ、あんたと一緒にすんな!!」 「えっ、柊。それはちょっと僕引くわ~」 「待て待て待て待て~!! なんで俺が拾い食いしたことになってんだよ!?」 「ヘタレだから?」 「いや、それ関係ないだろ!?」 「じゃあ、人間じゃないから」 「じゃあって、何!? つか何時から俺人間じゃなくなったの!?」 「初めから」 「いや、初めから人間だから!!」 「人間だったことなんてあったっけ?」 「お願いだから人間にして下さい」 柊は、でこぼこした気持ち悪い顔で泣きながら懇願してきていた。僕は口を手で抑えこう言ってあげた。 「気持ち悪…」 「あんた、人で無しっすね!!」
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